当科の特色

整形外科では小児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんを対象に、四肢骨折・脱臼などの外傷性疾患、変形性関節症、関節リウマチなどの関節疾患、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなどの脊椎疾患など幅広く診療を行っています。現在、力を入れて取り組んでいるのが、変形性関節症や脊椎変性疾患に対する手術治療です。変形性股関節症や変形性膝関節症などの変性疾患に対する人工関節置換術をはじめとした手術治療は2017年4月より赴任した主任部長の神囿が中心になり担当しております。脊椎疾患に対する除圧術や固定術は、部長の嶋田が中心になり担当しております。また、鹿児島大学整形外科や地域の医療機関と緊密に連携をとり、可能な限り地域内で治療を完結できるように努力しています。

主な対象疾患

関節疾患

患者さんの状況にあわせて、考えうる様々な治療法を提示し、患者さんにとって最適な治療を選択するように心がけています。
現在、力を入れて行っている人工関節置換術について紹介します。当院では、主に股関節・膝関節に対する人工関節置換術を行っています。
人工股関節置換術(THA)は、変形性関節症・関節リウマチ・大腿骨頭壊死症などの患者さんが対象になります。低侵襲手術を心がけており、筋腱を切離せず術後の回復が早く、脱臼などの合併症も少ないとされる前方アプローチの人工股関節置換術を中心に行っております。また、従来は手術することが難しい(あるいは手術しない方がいい)と診断された方にも新しい治療方法を提供可能になっていますので、まずはお気軽にご相談ください。
人工膝関節置換術(TKA)は、変形性膝関節症・関節リウマチなどの患者さんに対して行っています。正確な人工関節の設置を行うために、ポータブルナビゲーションを用いた人工関節手術を導入しています。また、患者さんの変形の程度に応じて、より侵襲の小さい単顆型人工膝関節手術(UKA)も行っております。
人工股関節置換術も人工膝関節置換術も非常に安定した長期成績が報告されてきており、実際に手術を受ける患者さんの数も右肩上がりに増加しています。術前患者さんの最も多い訴えである関節の痛みを取り除くことができる非常に優れた手術です。さらに、痛みをとるだけでなく、手術後は十分な機能回復が得られるように、専門のリハビリテーションスタッフと連携しながら、患者さん一人一人の状況にあわせて機能回復に効果的なリハビリテーションを提供しています。
また、スポーツ外傷による膝靭帯損傷や半月板損傷、肩腱板断裂に対する低侵襲な関節鏡視下手術にも取り組んでおりますのでご相談ください。

脊椎疾患

さまざまな脊椎疾患(頚・腰・手足の痛みやしびれ、運動障害、排尿・排便障害)の診断・治療を行っています。代表的なものでは、椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、頸椎症性脊髄症といった種々の疾患による脊髄の圧迫障害に対しまして、内服外用・硬膜外ブロックや神経根ブロック療法などの保存的療法を行い、治療抵抗症例に対しましては、除圧術や矯正固定術を中心に手術を施行しています。
代表的な疾患である、腰椎椎間板ヘルニアに対しましては、顕微鏡視下椎間板ヘルニア後方摘出術を施行しております。約2.5cm位切開し、顕微鏡を見ながら手術します。拡大された画像を見ながら操作するので安全にヘルニア手術を行う事ができます。傷が小さいため術後の痛みが少なく、早期に社会復帰が可能です。
また腰部脊柱管狭窄症は、背骨の中の神経の通り道(脊柱管)が、変形した骨や椎間板・厚い黄色靭帯により狭くなって神経が圧迫され、腰痛やしびれなどの症状が起きる状態です。これらの圧迫因子を切除することで、神経への圧力を取り除き症状を緩和します。これを除圧(じょあつ)術といいます。除圧だけでは狭窄が再発する可能性のある不安定な脊椎や、除圧したことで不安定になった脊椎に対しては、患者さん本人の骨盤や椎体の一部などから骨をとって移植したり、ロッドやスクリューなどの金属を入れて固定する、固定術を施行します。
当院で行っている低侵襲脊椎手術についてご説明します。低侵襲脊椎手術手技は皮膚切開が小さく、したがって筋肉を切開する範囲も比較的小さいので術後の回復が早いと考えられます。主として3つの方法を施行しています。

  1. 顕微鏡を用いた腰椎椎間板ヘルニア切除術
  2. 経皮的スクリュー挿入法(PPS)を併用した脊柱固定術(MIS-TLIF、MIS-PLIF)
  3. 側方アプローチによる脊柱固定術(LLIF)

成人脊柱変形におきまして、胸椎~骨盤まで固定し矯正するような手術においても、LLIFやPPS(経皮的スクリュー)などを併用して部分的に低侵襲手術手技を導入することで、手術による出血量を大きく減少できますので、患者さんの全身にかかる負担を軽減できます。

四肢の骨折、脱臼などの外傷性疾患

当院では小児の骨折からご高齢者の骨折まで、幅広い年齢層の患者さんの治療を行っております。手術適応の患者さんには、内科、麻酔科をはじめとした他の診療科の協力も得て、可能な限り受傷後早期の手術を目指しています。早期に手術することで、手術後の早期リハビリが可能になり、患者さんの負担を軽減するとともに早期に社会生活への復帰が可能になります。
高齢者の脆弱性骨折(骨粗鬆症が原因となり軽微な外傷で発生する骨折)は高齢化とともに増加傾向にあり、その中でも大腿骨近位部骨折(大腿骨頚部骨折や大腿骨転子部骨折)や橈骨遠位端骨折、胸腰椎椎体骨折の治療機会が増えています。骨折だけでなく全身的な問題(内科的な合併症や認知症)を抱えている患者さんも少なくなく、ほかの診療科と協力しながら治療にあたっています。

診療体制

現在常勤医4名体制で外来診療、手術、病棟管理を行っております。
主治医制を採用していますが、患者さんの回診や病棟業務は4名で協働で行い、休日・夜間・出張などの主治医不在時も十分な対応ができるシステムを構築しております。
毎週火曜日には、関係部署のスタッフと共同で合同カンファレンスを行い、患者さんの病状を把握、共有しています。

診療方針

診断・治療に関しては、各種診療ガイドラインに準拠して、EBM(Evidence Based Medicine)に基づいた診療を十分なインフォームド・コンセントのうえに施行しています。

外来診療案内

火・木の午前中に外来診療を行っており、原則紹介制・予約制です。尚、急患に関してはこの限りではありません。
診察日・担当医師一覧

スタッフ

神囿 純一(カミゾノ ジュンイチ) 主任部長

鹿児島大学 平成12年卒

[専門医]

  • 日本整形外科学会整形外科専門医

[所属学会]

  • 日本整形外科学会
  • 西日本整形災害外科学会
  • 日本股関節学会
  • 日本人工関節学会
  • 日本関節病学会
  • 日本リウマチ学会
  • 九州リウマチ学会
  • 日本骨粗鬆症学会

上薗 直弘(ウエゾノ ナオヒロ) 医長

産業医科大学 平成17年卒

[専門医・認定医]

  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  • 認定産業医

[所属学会]

  • 日本整形外科学会

髙野 純(タカノ ジュン) 医長

鹿児島大学 平成18年卒

[専門医]

  • 日本整形外科学会整形外科専門医

[所属学会]

  • 日本整形外科学会

中村 貴宏(ナカムラ タカヒロ)

金沢医科大学 平成24年卒

[所属学会]

  • 日本整形外科学会
  • 西日本整形災害外科学会

診療実績

平成28年度の手術総数は827例でした。主な手術件数は以下の通りです。

年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
外傷外科 上肢骨折手術 72 51 33 43 50 51 54 75 94 103
下肢骨折手術 105 104 113 99 85 95 92 126 167 154
関節外科 股関節 人工関節置換術 10 10 7 9 5 13 13 11 14 39
人工骨頭挿入術 24 21 19 18 22 20 25 38 59 60
膝関節 人工関節置換術 5 5 4 10 22 22 13 24 20 24
関節鏡視下手術 19 24 19 7 5 6 3 0 4 1
頚椎手術 頚椎手術 8 5 7 13 10 21 17 15 36 31
胸椎・腰椎 13 17 7 67 51 46 81 105 101 50
総数(その他含む) 346 324 286 327 303 358 400 474 677 664