放射線(X線)被ばくについて

CT装置

ベッドに横になり、体の周りからX線を当て、輪切りになった体の画を作って診断する検査です。

[検査前の注意事項]
検査する場所に着用している金属類などを外します。妊娠している方やその可能性のある方は検査前、担当医又は放射線技師にお知らせください。

撮影時間短縮で患者さんの負担軽減に「Revolution CT」を導入

Revolution CT(256列CT)

このたび当院では、従来の64列CTに変えてGEヘルスケア社製の「Revolution CT(256列CT)」を導入しました。
256列CTは最速1回転0.28秒にて一挙に160mm幅の撮影が可能なため、心臓のような動きのある臓器や乳幼児の頭部撮影は一瞬で撮影可能となりました。
患者さんの息止め時間も短くなり身体的負担が軽減されます。また新技術のハード・ソフトウエアにより被ばくを低減する技術も搭載されています。

【64列CTと256列CTの違い】

64列CTは連続撮影なので160mm幅を撮影するためには4回転が必要ですが、256列CTは1回転で終わります。ひとつの臓器を、寝台移動を伴うことなく撮影します。

●1回転で160mmの範囲の撮影が可能 とは

図のように1度に撮影出来る範囲が4倍となったことで、広範囲をより高速に撮影することが可能です。160mmで収まる部位、例えば頭部全体や心臓を1回転で撮影することが可能です。

【各領域における256列CTの有用性】

循環器領域

これまでのCTでは難しかった不整脈や高心拍・高度石灰化症例において、検査の成功率が大幅に向上しました。

(有用性)

  • 1回転0.28秒の高速回転でブレの少ない画像
  • 160mmの撮影幅でズレの無い画像
  • 心臓のように常に動きのある臓器に対して、ブレのない画像作成が可能

頭部領域

1回転で全脳の撮影が可能なため、認知症の患者さんや高齢者・小児など体動のある患者さんにも、ブレの無い撮影が可能になりました。

(有用性)

  • 連続撮影ではないので、造影時もムラの無い均一した画像を描出
  • 短時間で広範囲の撮影が可能なため、動脈と静脈を分離した撮影が可能

胸腹部領域

1秒間に282mmの範囲の撮影が可能になりました。胸部、腹部などの広範囲の撮影では、数秒で撮影可能となっております。

(有用性)

  • 1回転0.28秒による息止め時間の短縮
  • 造影剤の減量
  • 画質を維持し、最大82%の被ばく低減「ASiR-V」搭載

1.5T(テスラ)MRI装置

MRI装置(SIGNA Explorer 1.5T)

強い磁場の中で人体に電磁波をあて、体内から得られた信号をコンピュータで処理し、画像化する検査です。

[検査前の注意事項]
以下に該当する方は検査できない場合があります。

  1. ペースメーカーを植え込んでいる方
  2. 体内にクリップや人工関節などの金属類を植え込んでいる方
  3. 妊娠してから2~3ヶ月程度の方
  4. 閉所恐怖症の方

上記に該当する方は検査時に担当医または担当放射線技師へご相談ください。

[食事について]
撮影する場所や造影剤の使用の有無によって異なりますが、体幹部の場合は検査当日の朝食から絶食となります。

MRI装置(SIGNA Explorer 1.5T)

従来のMRIでは検査できなかった全身領域の撮影をより高画質に短い撮影時間で提供できるようになり、また、協力を得にくい小児の患者さんの体動を検査部位によっては劇的に抑制することができます。

臨床診断に役立つMRI撮像

造影剤を用いることなく、頭部の血流量評価が可能です。

3D ASL( Arterial Spin Labeling )

特徴

  • 造影剤を用いずに非侵襲的に脳灌流画像が数分の撮影で得られます。
  • 超急性期の脳梗塞の診断に威力を発揮します。

3D ASL 臨床事例(急性期脳梗塞)

上段:発症直後(左から、拡散強調画像、脳灌流画像、頭部血管画像)

下段:治療後(左から、拡散強調画像、脳灌流画像、頭部血管画像)

発症直後、拡散強調画像からは淡く脳梗塞巣が確認でき(上段左)、脳灌流画像では拡散強調画像とほぼ一致して血流が落ちていることが確認できます。(上段中)

脳梗塞治療後、脳灌流画像で血流が戻っていることが確認でき(下段中)、脳血管画像でも血管の走行が確認できます。(下段右)

CTおよびMRI検査の造影剤について

造影剤は、通常静脈から注入していきます。造影剤を使用することによって、血管の状態、臓器・病変の血流状態、他の臓器・組織と区別しやすくなり、病気がみつかりやすくなるため、必要に応じて検査を行います。

次のことに該当する方は事前にお知らせください。

  1. 以前に造影剤を使用した時に、具合が悪くなった方
  2. 喘息のある方
  3. 腎障害のある方

また造影剤の使用に対して検査前に諸注意の説明を受け、同意書の記入をします。

造影剤の副作用

副作用の頻度は全体の3%と言われています。
症状としては、皮膚症状(発疹、発赤、蕁麻疹)、消化器症状(悪心、嘔気、嘔吐)など軽度なものです。
非常に稀で重篤となる場合がありますが、副作用が生じた場合、医師及び看護師などスタッフが迅速に対応します。

CT及びMRI検査における違い

CT MRI
長所
  • 広い範囲の撮影が短時間で検査できる
  • 救急に対応できる
  • 撮影したデータを処理して3Dなどの特殊な画像を作成できる
  • X線被ばくがない
  • 早期の脳梗塞を画像で確認できる
  • 血流の情報が造影剤なしで得られる
  • 造影剤を使用した時の副作用の発生率がCTに比べて少ない
短所
  • X線による被ばくがある
  • CTに比べて検査時間が長い
  • ペースメーカー装着者、体内に金属のある人は検査できない場合がある
  • 検査中の体動に弱く、特に上腹部の検査で息止め不良では良好な画像が得られない
  • 閉所恐怖症の方は検査が難しい

血管造影検査・概要

血管造影検査装置
(TRINIAS B12U.J400)

連続でX線を照射しながら、各部位・臓器に適したカテーテルと呼ばれる細いチューブを目的とする血管内に挿入し、そのカテーテルに造影剤を注入し、血管の流れ、形態を撮影します。
またこの手技を用い、血管内治療も行います。

血管造影検査装置(TRINIAS B12U.J400)

本装置は、被ばくを抑えつつ、画質向上を可能とした機器です。
高速にアームを回転させながら画像を収集することで、3D画像を作成し、診断や検査手技をサポートします。

頭頸部血管造影検査

脳血管の病気(脳動脈瘤・脳動静脈奇形・頚動脈狭窄症など)や脳の腫瘍の診断又は治療が主な検査目的となります。
血管内治療としては、脳動脈瘤に対しコイル塞栓術を行ったり、頸動脈狭窄症に対してステント拡張術を行います。最近では急性期脳梗塞に対して血栓回収術を行うこともあります。

左の画像の矢印には脳にできた瘤を示しています。これに対し、右の画像は瘤をコイルで詰めた治療後の画像です。

胸部・腹部血管造影検査

肝臓・膵臓・腎臓などの疾患と血管との関係を調べます。疾患によっては(肝がんや外傷など)は薬剤を注入したり、血管を閉塞させる治療を行う場合があります。

左の画像の矢印は肝細胞癌を示しています。これに対して右の画像は、癌の栄養血管を詰めて治療した後の画像です。造影剤の染まりが消失しています。

心血管造影検査

カテーテルを挿入して、心臓又は心臓の栄養血管である冠動脈に造影剤を注入し、心臓の形態であったり冠動脈の状態を動画で捉える検査です。

また冠動脈の血管に狭窄・閉塞があった場合、特殊なカテーテルを使用し特殊なバルーンで血管を膨らませたり、金属ステントでの拡張を行います。

心臓に栄養を送る血管が狭くなっています。

バルーンで血管内を膨らませて血管の拡張を行っています。

血管が拡張されて、血液が良好に流れ始めるようになりました。

DR検査・概要

連続でX線を照射し、人体を透過したX線を電気信号に変え、透視画像がモニタに写し出されます。
そのモニタに写し出された画像を観察しながら、検査及び治療を行います。
主な検査としては、胃透視、注腸検査、胆管造影検査などです。

胃の透視検査

バリウムを飲み、食道、胃、十二指腸の形状、動き、粘膜の状態を観察しながら様々な方向から透視を行い、ガンや潰瘍などについて調べる検査です。

発泡剤について

胃透視の検査直前に発泡剤という薬を飲みます。通常縮んでいる胃を膨らますためのもので、ゲップが出そうになりますが、指示があるまでできるだけ我慢してください。

胃透視と内視鏡との違い

胃透視 内視鏡
長所
  • 胃の全体がよく分かる
  • 食道の動き、食べ物の通る一連の様子が観察できる
  • 胃壁の表面(粘膜)の色、様子が直接観察できる
  • 組織検査が可能である
短所
  • バリウムが飲みにくい
  • 検査後、便秘になる可能性がある
  • 胃カメラが飲み込みにくい

胃透視

[検査にあたっての諸注意について]
検査の前日夜9時より絶飲食となります。
検査前には胃の動きを抑えるお薬を肩に注射します。
また、緑内障、心臓疾患、前立腺肥大のある方は担当看護師あるいは放射線技師に伝えてください。
検査後はバリウムの排泄を促すために下剤を服用します。

注腸検査

肛門からバリウムと空気を注入し、直腸、S状結腸、結腸など大腸全域を観察することができます。

[検査にあたっての諸注意など]
注腸検査をするにあたって、検査する前に大腸をきれいにすることが最も重要となります。 検査前日には便などの残渣物が残らないような食事を摂り、多量に下剤を飲みます。

図1の矢印は結腸の癌によって内腔が狭くなった状態です。
図2の内視鏡カメラで見ても、内腔が癌によって狭くなっていることが分かります。

骨密度測定装置

はじめに

骨密度検査とは、X線や超音波を使って、腰椎や大腿骨、前腕骨などの骨密度(骨の強度)を測定する検査です。この骨密度が低下し、骨折の危険性が高くなる病気が骨粗鬆症です。骨密度検査による骨粗鬆症の診断や骨折の危険性の評価が、患者さんの骨折予防に重要な役割を果たしています。

当院の骨密度測定装置について

当院では、島津製作所社製の骨密度測定機能(SmartBMD)が搭載された透視装置(SONIALVISION G4)を導入しました。この装置、検査の特徴として、


骨密度測定装置(SONIAL VISION G4)
  1. 2種類のエネルギーの異なるX線を利用したDEXA法(Dual Energy X-ray Absorptiometry)で行います。
  2. 撮影部位は、通常、関連学会推奨の腰椎と左右どちらかの大腿骨の2部位の検査を行います。
  3. 撮影時間は、1部位あたり約10秒位で終わりますが、ポジショニング、お着替えなどを含めると、おおよそ10分程度かかります。
  4. 透視機能ですばやく正確にポジショニングができ、極めて少ないX線を利用するため、被ばくが少なく、再現性の高い検査となっています。
  5. AI(人工知能)を使った高精度の骨領域の自動認識機能で、測定者による誤差を低減できます。

    AI Assist機能による骨領域の正しい自動認識(黄色部分)

  6. 寝台についているボタンで上下左右スムーズに動き、床上47cmまで低くなるため、患者さんが乗り降りしやすくなっています。

以上のようなことから、患者さんにとりまして、たいへん信頼性の高い、やさしい検査となっています。

検査の準備と注意点について

  1. 以下の患者さんは検査ができない場合がありますので主治医にご相談ください。
    ① 体内に金属がある方
    (ア) 腰椎のL2~L4の椎体に体内金属がある方
    (イ) 大腿骨の左右両方の股関節部に体内金属がある方
    ② 他造影検査などを行った方
    (ア) CT造影検査後2日以内である方
    (イ) MRI造影検査後1日以内である方
    (ウ) 経口または経腸投与の造影検査後7日以内である方
    (エ) RI検査後7日以内である方
    (オ) その他、透視造影検査後3日以内である方
    ③ 腰椎、大腿骨(測定部位)に骨折のある方
    ④ 腹部、骨盤部(測定部位)に大きな石灰化がある方
    ⑤ 19歳以下、または妊娠中の方
    ⑥ 仰向けが5分程度保持できない方
  2. 着衣に金属がある場合は、検査衣に着替えていただきます。
  3. この検査のための、食事・内服薬などの制限はありません。
  4. 予約時間の30分前までにご来院下さい。

骨密度測定結果
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