臨床検査課とは

患者さんに直接触れて、心臓・消化管・血管・肺・脳・神経などの生理的反応や機能を調べる生理検査部門と、患者さんより採取された血液や尿、便などを検査する検体検査部門、輸血を行う際の適合・不適合などの検査を行う輸血部門があります。
365日24時間体制で夜間・休日を問わず緊急検査業務を行っており、常に診療に必要な情報を提供しています。

生理検査部門

生理検査部門では、心臓・消化管・血管・肺・脳・神経などの生理的反応や機能を調べています。
医師と臨床検査技師により、下記のような項目の検査を行っています。

心電図

心電図検査は、心臓の電気的な活動の様子を体表面から波形として記録し、心臓が正常に働いているか、不整脈や虚血性心疾患など心臓に異常がないかを調べる検査です。仰向けに寝て安静な状態で、両手首・両足首・胸部6箇所に電極を付けて検査します。

ホルター心電図

心電図は検査中の1分間弱の情報だけなので、時々出現する不整脈の情報などは捉えられません。また、狭心症のように、外来で症状のない時に心電図をとっても全く正常の場合があります。そのような場合に24時間心電図(ホルター心電図)を行います。

ホルター心電図を装着すると若干の不便はありますが(入浴できないなど)、ほぼ普段通りの生活ができます。

エルゴメータ負荷心電図

エルゴメータ負荷心電図は労作(急ぎ足で歩く、階段を上る、重いものを持つ、などの体に何らかの負担を掛けること)により、主に胸部症状を自覚する場合などの際に行われます。
心電図モニターを装着した状態で自転車エルゴメータに座り定められたスピードに合わせてペダルをこぐことによって、心臓に負荷(負担)をかけながら運動中あるいは運動後みられる心電図の変化を記録する検査です。

CPX(Cardiopulmonary Exercise training)、心肺運動負荷試験

自転車をこぎながら、心電図・血圧・呼気ガスを測定し、心臓だけでなく、肺や運動に使われる筋肉などの状態を総合的に見ることによって、運動耐容能を評価する検査です。
心筋梗塞後や心不全などの患者さんに、CPXによって求められたデータをもとにした処方を行うことによって、患者さんごとに安全で効果の高い運動療法(心臓リハビリテーション)を行っていきます。

神経伝導速度検査・誘発電位検査(術中脳神経機能モニタリング)

神経伝導検査は手足のしびれや脱力のある患者さんで、末梢神経障害が疑われる場合に行われる検査です。
術中脳神経機能モニタリングは、脳神経外科および整形外科手術おいて、手術操作によって傷害される可能性のある脳機能、および脳神経機能を監視したり、傷害されつつあるその機能を無症状なうちに早期に発見し、手術後合併症をさける事を目的として行われます。
運動誘発電位(MEP)・体性感覚誘発(SEP)・聴性脳幹反応(ABR)などがあります。

超音波検査(心臓・腹部・頚部血管など)

超音波検査とは、超音波(人体に無害な超音波)を使用して、肝臓・胆嚢・膵臓・腎臓などの内臓、また、乳腺や甲状腺、頚部血管、心臓の動きなどに異常がないかどうかを調べる検査です。エコー検査とも呼ばれています。お腹や胸などを出して、ベッドに寝てもらい、ゼリーを塗って、超音波の出るプローブと呼ばれるものをあてて検査します。

肺機能検査

肺機能検査は、肺活量と努力性肺活量検査があります。肺活量検査は肺が一度に取り込める空気の量を測定し、努力性肺活量は息をいっぱい吸い込んだ後に、力いっぱい息を吐き出すその勢いを測定します。
肺気腫、気管支喘息間質性肺炎等の呼吸器疾患鑑別、手術が可能かどうかの判断の時などに検査します。鼻をクリップで留め、使い捨てのマウスピースをくわえて、口のみで呼吸をしてもらいます。その他精査項目として、機能的残気量や肺拡散能力等の検査も実施しています。

脳波検査

脳波検査は、脳から生ずる電位変動を頭皮上の電極から記録するものです。てんかん、脳腫瘍、脳損傷、脳血管障害などの診断などに有用な検査です。
頭皮上に電極を装着して、ベッドに横になり、軽く眼を閉じて力を抜き、楽にしてもらいます。検査中、眼の開閉や深呼吸をしたり、光の点滅を受けたりします。

血圧脈波検査

血管の状態(動脈硬化など)を評価する検査です。仰向けに寝て、両腕、両足に血圧と脈波の測定を出来るカフを巻き、両手首に心電図測定用のクリップを付け、数分間安静な状態で検査します。

聴力検査

聴力は、オージオメーターという器械で調べます。ヘッドホンをして、低域周波数1000Hz と高域周波数4000Hzの音を左右どちらから出し、その音がどの程度の大きさの時から聞こえはじめるかを測定します。

眼底検査

眼底検査は、眼底の底の網膜や視神経の異常を調べたり、白内障、緑内障などの疾患を見つけることができる検査です。
無散瞳型眼底カメラを使用し、眼底写真を撮影します。写真をとった後目の前が丸く白色、青色の残像が残ったりしますが(フラッシュを使って眼底を撮影するため)、時間がたてばその残像もなくなります。

検体検査部門

様々な分析装置を使用し、迅速かつ正確なデータを臨床現場に提供出来る様に日々心がけております。

生化学的検査

血液中の酵素、脂質、糖質、無機質、ホルモンなどを調べる検査です。肝機能検査・腎機能検査・脂質検査・糖尿病検査・甲状腺検査などがあります。

血液学的検査

白血球、赤血球、血小板、血液像などの量や質的変化を調べる検査です。

一般検査

主に尿や便を検査材料とし、その性状や成分、およびその量を調べる検査です。腎、尿路系疾患や大腸がんなどのスクリーニング的な検査などがあります。

免疫学的検査

血液中の抗原や抗体を調べる検査です。梅毒、肝炎ウイルスなどの感染症検査や血液型検査などがあります。

細菌検査

採取した材料(便・尿・膿・喀痰・咽頭粘液など)を培養し感染症の原因となる菌を特定します。
また、その菌にどのような薬剤が有効かも検査します。

[分析装置の一例]


生化学分析装置

血糖・HbA1c分析装置

血液ガス分析装置

血球分析装置

輸血検査部門

輸血事故や輸血副作用を防止し、安全な輸血を行うための重要な検査および副作用状況の把握や輸血後感染症検査などの管理業務を行っています。
血液型(ABO・Rh)の検査や不規則抗体検査、輸血する血液との適合をみる交差適合試験等などを実施しています。