当科の特色

当科では川薩地区唯一の心臓カテーテル検査・治療実施施設として、特に虚血性心疾患の診断と治療に力を入れています。急性心筋梗塞は命にもかかわる病気ですので、24時間365日、緊急でのカテーテル検査・治療が行えるような体制を敷いています。また、心臓リハビリテーションにも積極的に取り組んでおります。虚血性疾患や心不全など循環器疾患は予防が非常に重要になるため、かかりつけ医との連携を密にとるように努めています。尚、当院には心臓血管外科が併設されていないため、心臓外科手術が必要な症例は、鹿児島市内の心臓外科施設と密に連携をとって、適切な医療を提供できるように努力しております。

主な対象疾患

虚血性心疾患(狭心症・急性心筋梗塞)

虚血性心疾患とは心臓の筋肉を養う血管(冠動脈)に動脈硬化による狭窄や閉塞が生じる病気です。従来の運動負荷心電図やスクリーニング精査を行います。冠動脈3次元CTで患者さんの冠動脈の器質的異常を認めた場合は、カテーテル検査での精密検査を検討し、必要な病変には経皮的冠動脈形成術(バルーン形成術)および冠動脈内ステント留置術による治療を施行しています。急性心筋梗塞に対しては緊急冠動脈造影とカテーテル治療をすみやかに施行しています。また、2021年よりロータブレータ(高速回転冠動脈アテレクトミー)を開始しましたので、より複雑な治療も可能となりました。

不整脈

徐脈性不整脈に対しては、ペースメーカ移植術を行っています。頻脈性不整脈は薬物治療を中心に行い、内科的治療のみでの管理が困難な頻脈性不整脈を有する方には、高周波心筋焼灼術や植え込み型除細動器移植術が実施可能な鹿児島市内の専門病院に紹介しております。

心不全

虚血性心疾患や心臓弁膜症、心筋症などの様々な心臓疾患が原因で、心臓が上手に全身に血液を循環できなくなった場合に「心不全」という状態におちいります。急性に発症した場合は酸素の投与やマスク式の人工呼吸器で呼吸状態を整え、利尿剤や血管拡張薬などの薬物治療をおこないます。原因によって心臓の弁膜症の手術が必要な場合、冠動脈の手術が必要な場合、ペースメーカでの治療が必要な場合などがあります。根本的に「完治」することは少なく、継続的な薬物治療でいかに「安定」した状態を長く保つかがカギになるので、かかりつけ医の先生と協力・連携しながら治療していきます。

末梢動脈疾患

主に下肢の動脈が動脈硬化により狭窄や閉塞をきたす病気を末梢動脈疾患といいます。血行障害によるしびれや冷感、歩行時の足の痛み、重度の場合は足の潰瘍・壊疽が生じます。下肢の動脈圧測定や、血管エコー、CT検査などで診断を行い、症状・病態に応じて薬物治療やカテーテル治療などを行います。

高血圧、高コレステロール血症

遺伝素因や食事などの生活環境を評価し、ガイドラインに沿った適切な治療を提案します。特に脂質低下療法には、近年、強力にすすめる方向にあります。

その他

大動脈瘤や大動脈解離、心臓弁膜症、心筋症、肺高血圧症・肺塞栓症などは経胸壁心エコーやCTによる診断、内科的治療を行い、手術などの侵襲的治療が必要な症例は鹿児島市内の専門施設に紹介しています。
H27年から心大血管リハビリテーションを行っており、心筋梗塞・狭心症・心不全の回復期・慢性期、心大血管術後の患者さんのリハビリテーションにも取り組んでいます(現在のところ入院のみ)。

診療体制

現在常勤医5名で診療しています。診療体制は主治医制をとっており、主治医が責任を持って受け持ち患者の診療にあたります。しかしながら循環器疾患は夜間・休日を問わず緊急対応が必要となることが少なからずあるため、医師を含めたスタッフ間で定期的にカンファレンスを行い、緊急時にチームとして対応できるような体制をとっています。入院患者の急変・緊急時の対応は原則として主治医が行いますが、主治医が対応困難な際は、当番医や主治医以外の循環器スタッフで適切な対応を行います。休日や時間外の救急患者に対しては、循環器当番医を一名決めて、その当番医が対応します。緊急カテーテル検査の際はカテーテルの当番医を更に招集して、24時間365日、可能な限り対応できるようにしています。

診療方針

診断・治療に際しては、各種診療ガイドラインに準拠して、EBM(Evidence Based Medicine)に基づいた診療を、十分なインフォームド・コンセントのうえに施行しています。高齢者や独居の患者さんも多い昨今では、単にガイドラインやEBMに準拠するのではなく、患者さんの個々の状態や社会的背景まで考えて、様々な問題点をコメディカルも含めたスタッフと共有しながら、その患者さんにとって適切な治療は何かを考えながら方針を決定するように努めています。

外来診療案内

月・水・金の午前中に外来診療を行っており、原則紹介制・予約制です。尚、急患に関してはこの限りではありません。
診察日・担当医師一覧

スタッフ

小川 正一(オガワ マサカズ) 副院長 兼 部長

鹿児島大学 平成7年卒

[指導医・専門医・認定医]

  • 日本内科学会指導医
  • 日本心血管インターベンション治療学会指導医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本循環器学会専門医
  • 日本心血管インターベンション治療学会専門医
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本循環器学会認定医
  • 日本心血管インターベンション治療学会認定医

[所属学会]

  • 日本内科学会
  • 日本循環器学会
  • 日本心血管インターベンション治療学会

新地 秀也(シンチ シュウヤ)

鹿児島大学 平成26年卒

[専門医・認定医]

  • 日本循環器学会循環器専門医
  • 日本内科学会内科認定医

[所属学会]

  • 日本循環器学会
  • 日本内科学会
  • 日本心血管インターベンション治療学会

柿原 裕二(カキハラ ユウジ)

鹿児島大学 平成28年卒

[専門医]

  • 日本内科学会内科専門医

[所属学会]

  • 日本内科学会
  • 日本循環器学会

寒川 寛哉(サムカワ ヒロヤ)

信州大学 平成31年卒

[所属学会]

  • 日本内科学会
  • 日本循環器学会

安藤 優之介(アンドウ ユウノスケ)

鹿児島大学 平成31年卒

[所属学会]

  • 日本内科学会
  • 日本循環器学会

診療実績(検査ならびに治療・件数)

年度 2018 2019 2020 2021 2022
心臓カテーテル 378 224 312 319 331
経皮的冠動脈形成術 166 96 135 160 174
ペースメーカー 一時ペーシング 17 17 10 11 7
恒久ペーシング 27 29 39 39 35
ジェネレーター交換 13 9 15 17 22
心臓超音波検査 2241 2166 2504 2352 2097
下肢の血管拡張術 62 70 23 16 19