人工股関節置換術・人工膝関節置換術でロボット手術を始めました

川内市医師会立市民病院はロボット手術を開始しました。今回導入したのは、日本で初めて承認された整形外科におけるロボティックアーム手術支援システム「Mako」です。
当院では人工股関全節置換および人工膝関節置換の手術を保険診療で行います。

ロボティックアーム手術支援システム「Mako」

ロボティックアーム手術支援システム「Mako」は2006年に米国で開発された人工関節置換術用のロボティックアーム支援システムです。日本国内では、2023年12月末までに2万例を超える人工関節置換術に使用されています。ロボティックアームにより、低侵襲で再現性の高い手術を支援します。CTデータに基づき、患者さん個々の形態に合わせて3D術前計画を行います。
アームの先端に装着するデバイスを変更することで 人工股関節置換術(THA)・人工膝関節全置換術(TKA)・人工関節単顆置換術(UKA)などに対応でき、人工関節インプラントの適切な設置を支援します。術中には関節の評価を行い、靭帯のバランスをとることができます。

ロボティックアームとは

コンピューター制御された「機械の腕(アーム)」のことで、自動で動くものや人が操作して動かすものなどがあります。
この先進テクノロジーを使った人工股関節置換術用のロボティックアームは、医師が操作をして動かすもので、傷んでいる骨を削ったり、人工関節(インプラント)の正確な設置をサポートします。

ロボティックアームの利点は?

人の手のようにぶれることがなく、正確に動き、また止まることです。人工股関節置換術に使用するとナビゲーションで計画した通りに手術器具を移動することができ、人工関節の固定も正確な角度で設置することが可能になります。
このロボティックアームは、少しでも計画から外れた動きをしようとすると停止します。身近なものに例えると車の自動ブレーキのようなもので、治療計画にない動き、つまり、削る必要のない部位にさしかかったり、インプラント設置の位置がずれたりすると停止する仕組みになっています。
ナビゲーションシステムとあわせて使用することで治療計画通りの安全かつ正確な手術を可能にします。

「Mako」を使用した人工股関節全置換術


人工股関節全置換術パンフレット(41.5MB)

「Mako」を使用した人工膝関節置換術


人工膝関節置換術パンフレット(14.4MB)

医師メッセージ

最新のテクノロジーでより安全・安心な手術の提供を目指します!

副院長 / 整形外科主任部長

神囿 純一

Kamizono Junichi

PROFILE
・日本整形外科学会整形外科専門医
・日本人工関節学会認定医
・日本自己血輸血学会認定自己血輸血責任医師
・医学博士

皆様こんにちは。当院では2024年5月より、ロボティックアーム手術支援システム「Mako(メイコー)」を用いた人工股関節置換術、人工膝関節置換術を開始しました。同システムは県内で2番目の導入となります。股関節、膝関節の病気でお悩みの患者さんに、より安全・安心な手術を提供可能となるシステムです。
今回のロボットシステムは、変形性股関節症や変形性膝関節症、大腿骨頭壊死症、関節リウマチなどが対象となります。「ロボット手術」と聞くと、ロボットが手術するの?と思われる方もいらっしゃると思いますが、このシステムでは実際に手術するのは医師であり、医師が計画通りの手術を安全に行うのをロボットが手助けしてくれます。人工関節手術の工程では、骨を切ったり、削ったり、人工関節を適切な角度で設置したりとミリ単位で微妙な調整が必要な場面がありますが、人の手で行う場合はどうしても限界があります。しかし、このロボットシステムでは、これまで術者の経験や技術に頼っていたこの部分を非常に正確に、しかも安全に行うことが可能になります。すでに導入されている施設からは、人工関節の設置精度向上、合併症低減、術後の早期回復などの利点が報告されています。患者さんに大きなメリットのある、まさに最先端の治療を当院から提供可能となったことを私自身も非常に嬉しく思っています。
人生100年時代となり、人工股関節置換術、人工膝関節置換術を必要とする患者さんはますます増えていくことが予想されています。股関節、膝関節の病気でお悩みの方、まずはお気軽にご相談ください。